その通説って本当?
子供がスマートフォンやテレビなどの画面を見る時間が長くなると、発達に悪影響があるのではないかと心配する声が多くあります。親が家事をする間や、子供を落ち着かせるために画面を見せることは、現代の家庭では珍しくありません。
しかし、画面を見ることが直接的に発達を妨げているのか、それとも別の理由があるのかは、専門家の間でも議論が続いています。
通説が広まった背景
デジタル機器の普及に伴い、子供が画面を見る時間は増加しています。研究者たちは、これが子供の言葉の発達や考える力、社会的な関わりにどのような影響を与えるかを調査してきました1。特に、画面を見る時間が長いほど、認知機能の発達が遅れる可能性が指摘されています23。
検証エビデンス
| 研究 | 対象・方法 | 主な結果 | この通説への意味 |
|---|---|---|---|
| Carsonら (2015)2 | 幼児を対象とした37件の研究をまとめて分析 | 画面を見る時間が長いほど、認知機能の発達が遅い傾向を確認 | 画面利用と発達の遅れに関連があることを示唆 |
| Madiganら (2019)4 | 2441組の親子を対象に、24〜60ヶ月の期間で追跡調査 | 画面を見る時間が長いと、その後の発達テストの点数が低い傾向 | 関連はあるが、どちらが原因かは断定できない |
| Zhaoら (2022)5 | 中国の子供を6ヶ月から72ヶ月まで追跡調査 | 幼少期から画面を見る時間が長いグループで発達の遅れを確認 | 長期間の利用習慣と発達の関連を示唆 |
| Gastaudら (2023)3 | ブラジルの18ヶ月の子供470人を対象に調査 | 1日1時間以上画面を見る子供で認知発達のスコアが低い傾向 | 早期の画面利用が発達に影響する可能性を示唆 |
複数の研究をまとめた分析では、画面を見る時間が長い子供ほど、認知機能の発達が遅い傾向があることが示されました2。また、ブラジルや中国で行われた調査でも、幼少期から画面を見る時間が長い子供ほど、後の発達テストで低い点数になる傾向が確認されています53。
一方で、これらの研究は「画面を見ているから発達が遅れた」と断定できるものではありません4。例えば、発達に何らかの課題がある子供を落ち着かせるために、親が画面を見せる時間が増えている可能性も考えられます4。
また、画面を見る時間だけでなく、どのような内容を見ているか、親と一緒に見ているかといった「使い方」も重要です6。夜遅い時間の利用は睡眠を妨げ、それが間接的に発達に影響を与える可能性も指摘されています6。
研究全体の動向
画面を見る時間が長いことと、発達の遅れには関連があることが多くの研究で確認されています2453。しかし、画面が直接的な原因なのか、他の要因が関わっているのかについては、まだ結論が出ていません4。
留意点
- 研究の多くは、画面を見る時間と発達の遅れが「同時に起きている」ことを示しているだけで、画面が原因だと証明しているわけではありません。
- 子供の発達には、家庭環境や親との関わりなど、画面以外の多くの要素が影響します。
- 海外で行われた研究結果が、そのまま日本の子供に当てはまるとは限りません。
- 研究結果は集団の傾向を示したものであり、個々の子供にそのまま当てはまるわけではありません。
結論
画面を見る時間が長い子供ほど発達の遅れが見られる傾向はありますが、画面が直接の原因であると断定することはできません4。画面の利用時間だけでなく、睡眠や親との関わりなど、生活全体を見直すことが大切です61。
引用元
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Radesky, J. S., & Christakis, D. A. (2016). Increased Screen Time: Implications for Early Childhood Development and Behavior.. Pediatric Clinics of North America. ↩ ↩2
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Carson, V., Kuzik, N., Hunter, S., et al. (2015). Systematic review of sedentary behavior and cognitive development in early childhood.. Preventive Medicine. ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
Gastaud, L. M., Trettim, J. P., Scholl, C. C., et al. (2023). Screen time: Implications for early childhood cognitive development.. Early Human Development. ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
Madigan, S., Browne, D., Racine, N., et al. (2019). Association Between Screen Time and Children’s Performance on a Developmental Screening Test. JAMA Pediatrics. ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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Zhao, J., Yu, Z., Sun, X., et al. (2022). Association Between Screen Time Trajectory and Early Childhood Development in Children in China.. JAMA Pediatrics. ↩ ↩2 ↩3
-
Garrison, M. M., Liekweg, K., & Christakis, D. A. (2011). Media use and child sleep: the impact of content, timing, and environment.. Pediatrics. ↩ ↩2 ↩3
※ 引用元が実在することに加え、記事の主な記述が引用元の内容と一致しているかも確認しています。ただし、DOIが正しいだけで、研究内容や記事の解釈まで正しいと保証されるわけではありません。