その通説って本当?
アクティブラーニングとは、先生が一方的に話す講義を聞くだけでなく、学生が話し合いや課題解決に積極的に参加する授業形式のことです。この形式は、知識をより深く定着させると期待されています。
効果を判断するには、学生の年齢や科目ごとに、試験の点数や不合格になる学生の割合がどう変わったかを分けて見る必要があります。
通説が広まった背景
アクティブラーニングは、学生が能動的に学ぶことで、記憶の定着や思考力の向上が促されるという考えに基づいています1。大学や医療系の授業を中心に、従来の講義と参加型の授業を比べる研究が重ねられてきました23。
検証エビデンス
| 研究 | 対象・方法 | 主な結果 | この通説への意味 |
|---|---|---|---|
| Freemanら(2014)4 | 科学・数学などの分野の大学生を対象に、講義形式とアクティブラーニングの成績を比較した225の研究を分析しました。 | アクティブラーニングの授業では試験の点数が平均して約6%上がり、講義形式の授業に比べて不合格になる学生の割合が約3割減りました。 | 科学や数学などの分野では、試験の点数向上につながる可能性を示しています。 |
| Vetterら(2020)5 | 小学校で算数の学習に身体活動を組み合わせた授業について、11の研究を分析しました。 | 11の研究のうち6つで算数の点数が向上しましたが、残りの研究では明確な差が出ないか、学年によって効果が分かれました。 | 身体を動かす手法は、算数の学習において必ずしも一律の効果があるとは言えません。 |
| Vankaら(2020)6 | 歯科教育における「反転授業(事前に動画で学び、教室では議論などを行う手法)」に関する17の研究を分析しました。 | 学生の満足度は高まる傾向にありましたが、試験の点数については、従来型と比べて必ずしも高い結果が出るとは限りませんでした。 | 満足度と試験の点数は別物であり、手法の導入が直ちに成績向上につながるとは限りません。 |
科学や数学などの分野では、アクティブラーニングが試験の点数向上や不合格になる学生の減少につながることが多くの研究で示されています4。学生が自ら考え、議論する機会を持つことで、学習内容への理解が深まるためと考えられます1。
一方で、すべての教育現場で同じ結果が得られるわけではありません。例えば、小学校の算数に身体活動を取り入れた研究では、点数が伸びる場合もあれば、学年によって効果が異なる場合もありました5。
また、歯科教育における反転授業の研究では、学生の満足度は高まったものの、試験の点数には大きな差が出ないこともありました6。このように、アクティブラーニングの効果は、対象となる学生の年齢や学習する科目、そしてどのような活動を取り入れるかによって変わる可能性があります527。
研究全体の動向
科学や数学などの分野では、従来型よりも学習効果が高いという結果が複数確認されています4。しかし、他の分野や年齢層では効果が一定ではなく、満足度と成績が必ずしも一致しないこともあります56。
留意点
- 研究の多くは特定の大学や学部で行われており、すべての学校や年齢層にそのまま当てはまるとは限りません。
- 試験の点数や不合格率といった指標は、学習効果の一面に過ぎず、すべての能力を測れるわけではありません。
- 「アクティブラーニング」といっても手法は様々であり、研究ごとに内容が異なる点に注意が必要です。
- 日本国内の教育現場で同じ結果が得られるかどうかは、個別の環境や指導方法に左右されます。
結論
アクティブラーニングは、科学や数学などの分野において、試験の点数向上や不合格になる学生の減少に一定の効果があることが確認されています4。ただし、すべての科目や年齢層で一律に高い効果が得られるわけではなく、満足度と成績が必ずしも連動しない場合もあります56。したがって、導入にあたっては対象や目的に応じた工夫が必要です。
引用元
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Janet M Dubinsky, Arif A Hamid (2024). The neuroscience of active learning and direct instruction.. Neuroscience and biobehavioral reviews. ↩ ↩2
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Khe Foon Hew, Chung Kwan Lo (2018). Flipped classroom improves student learning in health professions education: a meta-analysis.. BMC medical education. ↩ ↩2
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M Barranquero-Herbosa, R Abajas-Bustillo, C Ortego-Maté (2022). Effectiveness of flipped classroom in nursing education: A systematic review of systematic and integrative reviews.. International journal of nursing studies. ↩
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Scott Freeman, Sarah L Eddy, Miles McDonough, Michelle K Smith, Nnadozie Okoroafor, Hannah Jordt, et al. (2014). Active learning increases student performance in science, engineering, and mathematics.. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
Melanie Vetter, Rhonda Orr, Nicholas O’Dwyer, Helen O’Connor (2020). Effectiveness of Active Learning that Combines Physical Activity and Math in Schoolchildren: A Systematic Review.. The Journal of school health. ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
Amit Vanka, Shanthi Vanka, Othman Wali (2020). Flipped classroom in dental education: A scoping review.. European journal of dental education : official journal of the Association for Dental Education in Europe. ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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Hee Young Kang, Hae Ran Kim (2021). Impact of blended learning on learning outcomes in the public healthcare education course: a review of flipped classroom with team-based learning.. BMC medical education. ↩
※ 引用元が実在することに加え、記事の主な記述が引用元の内容と一致しているかも確認しています。ただし、DOIが正しいだけで、研究内容や記事の解釈まで正しいと保証されるわけではありません。