その通説って本当?

コーネル式ノート術は、ノートを特定の枠に区切り、講義の記録、要約、キーワードを整理する手法として広く知られています。この方法を使うことで、学習内容が整理され、理解や記憶が深まると期待されています。

しかし、この手法が実際にどれほど学習成績に影響を与えるのかについては、客観的なデータが必要です。

通説が広まった背景

ノートの取り方は、講義中の情報を整理し、後で復習するために重要な役割を果たすと考えられています。しかし、教育心理学の分野では、ノートの形式そのものよりも、情報をどのように処理し、記憶に定着させるかという認知的なプロセスが重視されています123

検証エビデンス

研究対象・方法主な結果この通説への意味
Santhoshら (2024)4歯科学生90名を対象に、講義後にアプリで復習するグループと通常の講義のみのグループを比較。アプリで復習したグループは、講義内容を思い出す練習を繰り返すことで、知識の定着が向上しました。ノート術そのものではなく、能動的に思い出す練習が学習に有効であることを示しています。
Wrzesińskaら (2025)5理学療法学生173名を対象に、ノートを取る学習と自分で問題を作成する学習の効果を比較。ノートを取る手法と問題を作成する手法の間で、試験成績に大きな差は見られませんでした。ノートを取ること自体が、他の能動的な学習法と比べて特に優れているとは言えません。
Palanisamyら (2025)6工学部の学生234名を対象に、ノート取りを含む様々な学習戦略の利用状況を調査。ノート取りの習慣には男女差が見られましたが、それが直接的に成績とどう結びつくかは示されていません。ノート取りは学習戦略の一つですが、それ単体で成績を左右する決定的な要因とは言えません。

学習戦略に関する研究では、ノートを取る行為そのものよりも、情報を整理して記憶から引き出す練習が重要視されています45。例えば、講義後に自分で問題を作成したり、アプリを使って繰り返し復習したりする手法は、知識の定着を助けることが確認されています45

一方で、コーネル式ノート術という特定の形式が、他のノートの取り方と比べて学習成績を向上させるという直接的な証拠は、今回の調査対象とした研究の中には見当たりませんでした56

ノート取りは学習の過程で使われる一つの手段に過ぎません。学習効果を高めるためには、ノートの形式にこだわるよりも、学んだ内容をどのように思い出し、整理し、活用するかという工夫が重要であると考えられます178

研究全体の動向

ノートの取り方に関する研究は、形式よりも「情報をどう処理するか」という点に重心が移っています。コーネル式ノート術の効果を直接証明するデータは不足しており、特定の形式が万能であるとは言えません56

留意点

  • コーネル式ノート術の効果を直接検証した研究は今回の調査範囲には含まれていません。
  • ノートの取り方は個人の好みや学習スタイルに依存する部分が大きく、万人に同じ効果があるとは限りません。
  • 学習成績は、ノートの取り方だけでなく、事前の知識量や学習時間など、多くの要因が組み合わさって決まります。
  • 海外の学生を対象とした研究結果を、そのまま日本の学習環境に当てはめるには慎重な判断が必要です。

結論

コーネル式ノート術が学習成績を向上させるという直接的な証拠は、現在の研究からは確認できませんでした。学習効果を高めるためには、ノートの形式を整えること以上に、学んだ内容を能動的に思い出す練習や、自分自身で問いを立てる工夫を取り入れることが重要です45

引用元

  1. Kirschner, P. A., Sweller, J., Kirschner, F., et al. (2018). From Cognitive Load Theory to Collaborative Cognitive Load Theory. International Journal of Computer-Supported Collaborative Learning. 2

  2. Chen, O., Paas, F., Sweller, J. (2023). A Cognitive Load Theory Approach to Defining and Measuring Task Complexity Through Element Interactivity. Educational Psychology Review.

  3. Leppink, J. (2017). Cognitive load theory: Practical implications and an important challenge. Journal of Taibah University Medical Sciences.

  4. Santhosh, V., Coutinho, D., Ankola, A. V., et al. (2024). Effectiveness of spaced repetition learning using a mobile flashcard application among dental students: A randomized controlled trial.. Journal of Dental Education. 2 3 4

  5. Wrzesińska, M. A., Rakoczy, J., Binder-Olibrowska, K. W., et al. (2025). Comparing structured note-taking and multiple-choice question writing as learning strategies among physiotherapy students. BMC Medical Education. 2 3 4 5 6

  6. Palanisamy, B., Rajasekaran, V. (2025). Analyzing listening and comprehension strategies among engineering students: A cross-sectional study. MethodsX. 2 3

  7. Evans, P., Vansteenkiste, M., Parker, P., et al. (2024). Cognitive Load Theory and Its Relationships with Motivation: a Self-Determination Theory Perspective. Educational Psychology Review.

  8. van Nooijen, C. C. A., de Koning, B. B., Bramer, W., et al. (2024). A Cognitive Load Theory Approach to Understanding Expert Scaffolding of Visual Problem-Solving Tasks: A Scoping Review. Educational Psychology Review.

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