その通説って本当?
「直感的な人は右脳派」「論理的な人は左脳派」といった言葉を耳にすることがあります。特定の脳の領域がその人の性格や能力を決定づけているという考え方は、広く親しまれてきました。
しかし、私たちの脳は本当にそのような単純な二択で分類できるのでしょうか。
通説が広まった背景
脳の左右で役割が異なるという考え方は、過去の脳損傷患者の研究などから生まれました12。しかし、近年の研究では、脳の機能はもっと複雑で、左右の領域が連携して一つの能力を支えていることが明らかになっています34。
検証エビデンス
| 研究 | 対象・方法 | 主な結果 | この通説への意味 |
|---|---|---|---|
| Güntürkünら (2020)3 | 脳の左右差に関する比較研究の分析 | 脳の左右差は存在するが、状況に応じて左右の回路が協力して働く。 | 脳を左右どちらか一方の型に分類することはできない。 |
| Zhangら (2025)4 | 脳の左右差に関する研究のまとめ | 脳の左右差を単純に二つに分ける考え方は、実態を過度に単純化している。 | 右脳型・左脳型という分類は科学的に不正確です。 |
| Brownら (2024)2 | 脳の左右をつなぐ神経線維に関する研究の再検討 | 創造性などの能力は、脳の左右が連携することで発揮される。 | 左右の脳は独立しておらず、協力関係にある。 |
脳の左右で役割が異なることは、多くの生物で見られる基本的な仕組みです3。例えば、特定の情報を処理する際に、左右のどちらかの領域が中心的な役割を果たすことはあります3。
しかし、これは「その人の脳が右脳型である」といった性格や能力の分類を意味するものではありません4。実際には、脳の左右は互いに情報をやり取りし、協力して複雑な課題を解決しています32。
脳の左右差は、個人の性格を分けるような単純なものではなく、もっと細かく、かつ多様な回路が組み合わさってできています54。そのため、人間を右脳型か左脳型かに分けるという考え方は、脳の実際の働きを正しく反映していません4。
研究全体の動向
脳の左右で役割が異なることは確認されていますが、それが個人のタイプを決定するという証拠はありません34。脳は左右が連携して働く統合的なシステムであり、単純な二分法は否定されています32。
留意点
- 脳の左右差に関する研究は、特定の課題や動物を対象としたものも含まれます。
- 脳の機能は非常に複雑であり、単純なラベルで個人の能力を判断することはできません。
- この検証は脳の仕組みに関するものであり、個人の性格診断や教育法を推奨するものではありません。
- 脳の左右差は個人差が大きく、一律に当てはめることは困難です。
結論
性格や能力が「右脳型」か「左脳型」かに分かれるという説は、科学的な根拠がありません34。脳の左右は互いに連携して働いており、人間を単純に二つのタイプに分類することはできません324。
引用元
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Corina Aparecida Fernandes, Daniel Boari Coelho, Alessandra Rezende Martinelli, Luis Augusto Teixeira (2018). Right cerebral hemisphere specialization for quiet and perturbed body balance control: Evidence from unilateral stroke.. Human movement science. ↩
-
Warren S. Brown, Lynn K. Paul (2024). The corpus callosum and creativity revisited. Frontiers in human neuroscience. ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
O. Güntürkün, F. Ströckens, S. Ocklenburg (2020). Brain Lateralization: A Comparative Perspective.. Physiological reviews. ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
-
Chenghui Zhang, Yi Pu, Xiang-Zhen Kong (2025). Latent dimensions of brain asymmetry.. Handbook of clinical neurology. ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
-
M. Corballis (2020). How many lateralities?. Laterality. ↩
※ 引用元が実在することに加え、記事の主な記述が引用元の内容と一致しているかも確認しています。ただし、DOIが正しいだけで、研究内容や記事の解釈まで正しいと保証されるわけではありません。