その通説って本当?

「同棲をしてから結婚すると、お互いのことをよく知っているからうまくいく」という意見がある一方で、「同棲を経験すると離婚しやすくなる」という説もよく耳にします。どちらが正しいのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

この問題は、単に「同棲したかどうか」だけで決まるものではありません。どのような人が同棲を選び、どのような背景で結婚に至ったのかという、個人の事情が複雑に関わっています。

通説が広まった背景

同棲経験が離婚率の高さと関連しているという考えは、過去の調査結果から広まりました12。しかし、最近の研究では、同棲という生活形態そのものが離婚の原因なのではなく、もともと離婚に至りやすい特徴を持つ人が同棲を選択しやすいのではないかという「選択」の視点が重要視されています3

検証エビデンス

研究対象・方法主な結果この通説への意味
Reinhold (2010)1米国の1988〜2002年の調査データを用い、初婚の離婚リスクを分析しました。同棲経験と離婚の関連は、最近の世代では弱まっている。同棲が必ずしも離婚の直接的な原因ではないことを示唆。
Impicciatore & Billari (2012)3イタリアの2003年の全国調査データを用い、同棲・結婚・離婚の決定要因を分析しました。同棲経験と離婚の関連は、個人の背景や性格による選択で説明できる。同棲そのものより、個人の特性が離婚率に影響している可能性を示唆。
Wu (1995)2カナダの1990年の調査データを用い、離婚後の再婚や同棲の経験を分析しました。初婚前に同棲した人は、離婚後も再び同棲する割合が50%以上高かった。同棲経験がその後の生活様式の選択に影響を与える可能性を示唆。

同棲と離婚の関連については、研究によって異なる結果が出ています。かつての調査では同棲経験が離婚のしやすさと結びついていましたが、より新しいデータを用いた研究では、その関連が弱まっていることが確認されています1

また、イタリアで行われた研究では、同棲経験と離婚の関連は、その人が持つ個別の事情や性格による「選択」の結果である可能性が指摘されています3。つまり、同棲したから離婚するのではなく、離婚しやすい傾向を持つ人が同棲を選びやすいという考え方です。

一方で、同棲の経験がその後の人生におけるパートナーシップのあり方に影響を与えるという報告もあります。例えば、初婚前に同棲した人は、離婚後にも再び同棲を選ぶ割合が高いことが示されています2。このように、同棲と離婚の関係は、国や文化、そして個人の選択によって大きく変わる可能性があると言えます。

研究全体の動向

同棲経験と離婚の関連は、時代や国によって変化しており、一概に「同棲=離婚しやすい」とは言えません13。個人の性格や背景が同棲と離婚の両方に影響している可能性が高く、同棲そのものが離婚の原因であると断定することはできません3

留意点

  • 研究の多くは特定の国や地域で行われたものであり、そのまま日本に当てはまるとは限りません。
  • データは集団の傾向を示すものであり、個人の将来を予測するものではありません。
  • 同棲の目的や期間、結婚に至るまでの経緯はカップルごとに大きく異なります。
  • 離婚の理由は非常に多岐にわたるため、同棲経験だけで説明することはできません。

結論

同棲経験が直接的に離婚の原因になるという明確な証拠はありません13。同棲と離婚の関連は、個人の背景や性格による選択の結果である可能性が高く、時代とともにその関連も弱まっていることが示されています13

引用元

  1. Reinhold, S. (2010). Reassessing the link between premarital cohabitation and marital instability.. Demography. 2 3 4 5 6

  2. Wu, Z. (1995). Premarital cohabitation and postmarital cohabiting union formation.. Journal of Family Issues. 2 3

  3. Impicciatore, R., & Billari, F. C. (2012). Secularization, Union Formation Practices, and Marital Stability: Evidence from Italy. European Journal of Population = Revue Europeenne de Demographie. 2 3 4 5 6 7

※ 引用元が実在することに加え、記事の主な記述が引用元の内容と一致しているかも確認しています。ただし、DOIが正しいだけで、研究内容や記事の解釈まで正しいと保証されるわけではありません。