その通説って本当?

「人は見た目が9割」や「第一印象は数秒で決まる」といった言葉を耳にすることがあります。私たちは初対面の相手を見たとき、その人の性格や信頼できるかどうかを瞬時に判断しているように感じます。

しかし、この判断は本当に「見た目」だけで決まっているのでしょうか。研究では、顔の物理的な特徴だけでなく、どのような情報が印象の形成に関わっているのかが調べられています。

通説が広まった背景

第一印象に関する研究は、顔の物理的な特徴から性格を推測する仕組みや、それが社会的な行動にどう影響するかを明らかにしようとしてきました1。また、近年ではマスクの着用が信頼感の判断に与える影響など、状況の変化が印象形成に及ぼす影響も注目されています2

検証エビデンス

研究対象・方法主な結果この通説への意味
Sutherland & Young (2022)1顔の印象形成に関する既存の研究を統合して分析顔から受ける印象は非常に素早く形成され、物理的な特徴からある程度予測可能である第一印象が素早く形成されることを支持する
Li et al. (2023)3顔写真と道徳的な行動の情報を組み合わせて提示する実験顔の見た目だけでなく、相手の道徳的な行動の情報が印象形成に影響を与える見た目以外の情報が印象を左右することを示す
Gabrieli & Esposito (2021)2マスク着用時の顔写真に対する信頼感の評価を調査マスクを着用していると、顔の見た目が隠れることで信頼感の評価が低下する外見上の変化が印象形成に影響を与えることを示す
Hepp et al. (2021)4境界性パーソナリティ障害や社会不安障害を持つ女性を対象とした印象評価特定の精神疾患を持つ人は、健康な人と比較してネガティブな印象を抱きやすい傾向がある印象形成の過程には個人差があることを示す

研究によると、顔を見たときの印象は非常に素早く形成され、顔の物理的な特徴がその判断の材料として使われています1。これは、私たちが初対面の相手に対して直感的に何らかの評価を下していることを裏付けています。

一方で、印象は見た目だけで完結するわけではありません。相手の道徳的な行動を知ることで、顔に対する評価が変わることが確認されています3。また、マスクの着用のように顔の一部が隠れるだけでも、信頼感の判断に影響が出ることが分かっています2

さらに、印象の形成には個人差もあります。特定の精神疾患を持つ人では、健康な人と比較して相手をネガティブに評価しやすい傾向があるなど、印象形成のプロセスは一様ではありません4

研究全体の動向

第一印象が素早く形成されることは多くの研究で確認されています1。しかし、その判断は見た目だけでなく、相手の行動や状況、個人の特性によって変化するため、見た目だけで全てが決まるわけではありません324

留意点

  • 研究の多くは特定の条件下での実験であり、日常の複雑な対人関係をそのまま反映しているとは限りません。
  • マスクの有無などの状況変化が印象に与える影響は、文化や個人の経験によって異なる可能性があります。
  • 印象形成のプロセスには個人差があり、すべての人が同じように相手を判断するわけではありません。
  • 本記事の内容は、特定の個人に対する診断や治療を目的としたものではありません。

結論

第一印象は非常に素早く形成されますが、それは見た目だけで決まる単純なものではありません1。相手の行動やマスクの着用といった状況、さらには個人の特性によっても印象は変化します324。したがって、第一印象がすべてを決定づけるとは言えません。

引用元

  1. Sutherland, C. A. M., & Young, A. W. (2022). Understanding trait impressions from faces. British Journal of Psychology. 2 3 4 5

  2. Gabrieli, G., & Esposito, G. (2021). Reduced Perceived Trustworthiness during Face Mask Wearing. European Journal of Investigation in Health, Psychology and Education. 2 3 4 5

  3. Li, J., He, D., Zhang, W., et al. (2023). The Effect of Moral Behavior on Facial Attractiveness. Psychology Research and Behavior Management. 2 3 4

  4. Hepp, J., Kieslich, P. J., Wycoff, A. M., et al. (2021). Mouse-tracking reveals cognitive conflict during negative impression formation in women with Borderline Personality Disorder or Social Anxiety Disorder. PLOS ONE. 2 3 4

※ 引用元が実在することに加え、記事の主な記述が引用元の内容と一致しているかも確認しています。ただし、DOIが正しいだけで、研究内容や記事の解釈まで正しいと保証されるわけではありません。